専門研修

Program救急救命科専門研修プログラム

研修について(修了者の経験)

吉池安隆医師の写真  

千葉市立海浜病院
救急・集中治療科医長 吉池安隆
(2023年4月~2025年3月まで旭で後期研修)

 

”主体的な意思決定とマネジメントを通して、自ら現場を動かせる救急・集中治療医へ成長”

旭中央病院は、東総地域で各専門診療科の大部分を有する3次救急指定病院です。人口は県内で相対的に少ない地域ですが、カバーをしている医療圏面積は広く、隣県の茨城県からの患者搬送も少なくありません。各診療科は、「地域医療の砦」としての自覚を持っているため、症例数が多いことはもちろん、症例の偏りがない環境です。私は初期研修を当院で行った過程で、当院ERの特徴である、walk-in症例からCPAまで、内因性疾患、外傷問わず、全ての症候が集まる環境に刺激を感じ、救急科に興味を持ちました。初期研修修了後は、出身大学の関係があったため、そのまま後期研修には進まずに県内医療過疎地域で一般内科として(場合によっては小児、整形外傷も)、亜急性期から慢性期寄りの管理を行っていました。専門科の存在しない環境で、臓器横断的な診療を行いながら自身の専門をどうするか考えた時、この経験は超急性期にも活かせると感じ、専攻を救急科に決めました。当院は確実に経験値が積める環境であることはわかっていたので、後期研修先の選択に迷いはありませんでした。
後期研修が始まると、ER医としては一般内科の経験が活かせたため、診断面で困る経験は多くなかったものの、多患者の把握、優先順位付けと並行しつつ初期研修医の監督など、管理者の側面を早期に求められる点は苦労しました。物事を俯瞰してみる訓練として良い経験となりました。二次医療圏全例応需を理念として掲げているため、受けるか断るか悩む、という環境ではありません。各専門科も、地域から求められている役割を認識しているため、救急科が勝手に受けた、と言われにくく救急医として働きやすいと感じました。
ICU医としての経験はゼロスタートであったため、初めは相当に苦労をしました。当院ICUはsemi-closed ICUであるため、ほぼ全ての人工呼吸器管理、術後管理、体外循環、臓器補助デバイスの管理を求められます。当院は特定の医局関連組織ではなく、また多様な背景を持つ施設からくる複数のICU医が非常勤勤務をしています。それらの指導医から多様な考えを聞くことで、特定の考えに偏らない、標準的なICU管理を学ぶことが可能です。ICU患者全体の把握、病態把握を前提としたカンファレンスの司会、他科との協議、大方針の決定ができるようになることが専攻医には求められます。「指導医が決めたから、そうする」、「指導医同士の意見が異なり苦労する」という環境ではなく、専攻医自らが考え決めた方針は、間違っていなければ尊重される環境であり、主体性が身についた点はとても有意義でした。
忙しい環境であることは間違いありませんが、時間外の呼び出しはありません。環境に慣れてきて、望めば緊急IVRの経験もできるため、サブスペシャリティ技能を得ることもできます。ドクターカーを始めとした病院前救急や、災害医療の経験も可能です。
現在私は、家族環境の変化から県内他施設で救急医、集中治療医として勤務していますが、旭での業務はとても充実していたと、離れてみると一層感じています。一度飛び込んでみること、おすすめします。

糟谷智史医師の写真  

千葉ろうさい病院
重症・救命科/集中治療部 糟谷智史
(2018年4月から2020年3月まで旭で後期研修)

 

”圧倒的な経験とIVR実践で、現場で通用する判断力と手技が身についた”

旭中央病院救急救命科での専攻医時代を振り返って1番良かったところは千葉県北東部の患者がすべて集まってくるところにあると思います。
やや田舎に立地しているため近隣に小規模な2次病院はいくつかあるものの、大学病院や救命センターのような3次施設はありません。
人口の少ない県の総人口よりも多い100万人近くの診療圏人口を抱えており、軽症や中等症はもちろんのこと、重症患者はもれなく旭の救急外来に集まります。
多数の軽症〜重症患者を通して症候ごとの考え方や適切な対応を学び、繰り返すことで自然と身につけて洗練することができました。
Commonな疾患の典型例だけでなく非典型例も多く見ることができたり、頻度の少ない疾患を経験することができたりで、一目見ただけでこの人はこの疾患だろうとか、ウォークインで待合にいるけど中でモニタリングしないと危険だなという感覚が身についたのは今でも非常に役立っています。
また救急外来では救急救命科の指導医、専攻医の他に数名の初期研修医も一緒に診療を行います。
目の前の重症患者一人だけではなく、初期研修医が診ている患者のバックアップと指導を同時に行いました。
後期研修終盤では非常に広い救急外来全体にどのような患者がきているか、バイタルに変化はないか、どこまで診療が進んでいるかなどを把握して適宜介入と人員の再配置、診療スペースのやりくり、院内全体の急変対応やドクターカー出動などを行いました。
多くの業務の中で絶えず変化する状況を把握し、優先順位の判断と迅速に行動する能力こそ救急医に求められる能力だと思います。
専攻医に成り立ての頃は目の前の一人の患者さんで手一杯でしたが、旭の圧倒的な症例数と経験によりこれらを身につけることができました。

また私は現在千葉ろうさい病院重症救命科で救急とICUの診療に加えて外傷患者のIVRを頻繁に行っています。
これは旭中央病院での専攻医の時に救急救命科の伊藤先生や放射線科の磯貝先生と数多くの骨盤骨折や内臓損傷、消化管出血、喀血などのIVR治療を行った経験によるものです。
緊急の症例だけではなく消化器内科の糸林先生にもご指導いただき、肝臓がんの予定TACEに毎週1,2件入らせていただいていました。
専攻医の間に適応の判断から上級医監督下ではありますが一人で止血術を完遂できるようになったことはとても得難い経験だったと今でも思っています。
専攻医時代に御指導いただいた先生方や他職種の方々、また家族や友人に大変感謝しております。ありがとうございました。

中村聡志医師の写真  

済生会宇都宮病院
救急集中治療科 中村聡志
(2020年4月から2023年3月まで旭で後期研修)

 

”「救急医としての土台作りに適した環境」 - 旭救急で過ごした日々を振り返って”

私は千葉大学を卒業後、初期研修を旭中央病院で過ごし、その頃の同期や上司との縁もあり救急救命科に進み計5年間を旭でお世話になりました。

旭中央病院の特徴の一つは、何と言っても軽症から重症まで幅広い疾患の患者が豊富に集まる救急外来です。 年末年始などの連休になるとカルテが大量に並ぶあの光景は、少し苦いような、だけど充実していた懐かしい記憶です。
赤(重症)カルテの患者を優先的に診療しながら、黄(中等症)や緑(軽症)カルテも合間で診療し、初期研修医のサポートも行います。膨大な症例の経験、そして多忙な救急外来全体のマネジメントを学ぶことができました。地域柄「帰宅後に何かあればまた旭に来る」ため、それが安心でもあり、医療者として責任を感じる環境でした。膨大な症例を「さばく」のではなく丁寧に診療し、一方で重篤なサインを見逃さず迅速にすくい上げる、その姿勢や感覚が磨かれたのはあの救急外来だったと思います。

旭の救急外来では、救急搬送の全例応需を目指しているため、ホットラインの応需に関して悩むことが少ない点も特徴です。他施設を経験して改めて感じたのは、これを実現できているのは、周辺に高次医療機関が少ない地域事情はさることながら、各診療科の先生方をはじめ病院全体が「地域医療の砦」としての役割を強く自覚しているからだということです。「若者の発熱だから他院へ」「圧迫骨折なら他で」、そうした会話はほとんど旭の救急外来で聞いたことはありませんでした。各診療科のサポートがあってこそ成り立っていることは大前提ですが、医療の集約化が進み、かつ高齢化・複数疾患を抱えた患者が増えていく今後の医療現場では、病態や年齢、背景で患者を選ばず、いかなる患者も診療することは特に救急医にとって必要不可欠なスキル・マインドであると思います。専攻医はどうしても病院内のことで手一杯になりがちですが、旭では自ずと地域医療全体の視点を考える機会が多くありました。

救急外来の他にICUや一般病棟の診療もあり、こちらも濃密な時間を過ごしました。医師が潤沢にいるとは言えない環境だからこそ、自分で調べ、考え、試行錯誤する毎日でした。旭救急のOB・OGをはじめ、複数の非常勤医師の温かいサポートもあり、複雑な病態へのアプローチやベッドサイドでの状態評価、各種デバイスの管理などを実践的に学び経験することができました。受け身ではなく、自主的にやらざるを得ない環境は私にとって非常に適したものでした。

また旭には向上心の高い初期研修医が多く、指導する立場としても大きな刺激を受けました。研修医向けの勉強会を開催したり、急変対応について病棟看護師に講習を行ったりと、自らの糧になる経験も数多くさせていただきました。

病院外の生活も充実していました。自然豊かで海が近い、食事が美味しい(魚介も肉も野菜も)、大型ショッピングセンターが隣接している、家賃が安いなど。田舎ですが、特に生活に不自由なく満喫できた5年間でした。

救急医になった以上最重症患者の管理をできるようにならねばと考え、現在は栃木県の救命救急センターの救急・集中治療科に移り、救急外来診療やICUでのECMOやImpellaなどの循環補助デバイスの修練をしています。

旭での経験は間違いなく今の自分の基盤になっています。
救急医としてキャリアを歩み始める方にとって、旭は確かな土台を築くことのできる場所です。心よりおすすめします。

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