初期研修

Impression志望理由/選んだ理由/魅力

情熱海岸

髙田秀人 平成24年度研修医

望んだからここにいる。

ここは旭中央病院。
千葉県東部に位置する、約1000の病床をもつ公立病院。
年間の受診者数は約6万人、救急車受け入れ件数は約6000件。
病棟から外を見渡せば、そこに広がるのは海。
夜のネオン街?
そんなものはない。


昨晩入院した糖尿病患者Aの血糖値補正を終え、午前3時高田は院内の仮眠室に横たわった。
ピピピ、ピピピ。再びPHSが鳴る。時刻は5時半。また救急外来から入院が入るようだ。「肺炎の入院コンサルトです。患者さんは83歳女性。2日前から咳嗽が増え、本日発熱・呼吸困難で来院しています。脈拍は110回, 血圧は110/50mmHg。。。。。」 これは急いだ方が良い。時間=命。高田は救急外来へと走った。途中、同期にすれ違う。何かやり切った顔でこっちをみている。次はオレの番だ。わずか3分で救急外来へ到着。患者さんの手を握ると末梢は温かい。敗血症によるpreshockか。「輸液早めますか?」看護師さんがそう尋ね、高田は生食のクレンメを全開にするようお願いした。レントゲンは右下肺野に浸潤影。肺炎だ。高田は喀痰のグラム染色へ。そこには1年目研修医。尿を染めていた。「一緒にみていただけませんか?」 そこには太めのGNR。「抗菌薬はわかっているよね?」 彼の答えは正解だった。一方、喀痰はpolymicrobial。高田は救急外来へ戻り、入院オーダーを入れ、病状説明をし、患者様を病棟に運んだ。病棟に上がると、看護師さんから「昨晩、糖尿病で入院となったAさん、朝の血糖は220です。インスリンはこのままで良いですか?」と報告がある。「はい。昼ご飯が食べられたら皮下注射に変えましょう。」 そうこうしている間に、時刻は朝7時半。カンファレンスの始まりだ。先輩医師の一言は「あと1時間遅かったら危なかったかもな。抗菌薬はわかっているよね?」 高田は12階のラウンジから外を眺めた。海は真っ赤に燃えている。そう、ここは情熱海岸。

いつでも教えてくれる先輩医師がいる、いつでも助け合える同期がいる、いつでも頼ってくれる後輩がいる、いつでも頼りになるコメディカルの方々がいる、いつも次々と運ばれてくる患者様がいる。全てが自分を大きく育ててくれた。

ピピピ、ピピピ。またPHSが鳴る。病棟急変だ。

望んだからここにいる。そう思いながら、また高田は病棟へ走っていくのであった。

次回、情熱海岸の主役は君かもしれない。

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